AFPWAA STUDENT WORKSHOP 2019 SDG2「飢餓をゼロに」 優秀賞、部門賞が決定!!

AFPWAAでは2019年4月~5月に”AFPWAA STUDENT WORKSHOP SDGs 2019″ を開催しました。
今回の課題は、AFP Forum からSDGs課題「”ZERO HUNGER”ー飢餓をゼロにー」に最も相応しい一枚の写真を選択してレポートを作成するという内容です。
みなさまがたのご協力により、高校、大学から合計173作品のエントリーがありました。今回応募くださったみなさま、ありがとうございました。

ワークショップの目的は、世界各国13,000社のメディアが利用しているAFP通信のデータベース活用です。課題制作を通じて、学生のみなさんが実際に自らの体験として学習してみることにあります。

■SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS (SDGs)について
SDGsは,2015年9月の国連サミットで全会一致で採択された世界を変えるための17の国際目標です。
持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサルなものであり,日本としても積極的に取り組んでいます。 

優秀賞、部門賞受賞作品を発表いたします。
応募作品はAFPBB News特設サイト及びAFPWAA公式Instagramに掲載しています。こちらもぜひご覧下さい。

AFPBB News特設サイト https://www.afpbb.com/category/afpwaa-sdgs

AFPWAA公式Instagram https://www.instagram.com/afpwaa_workshop/

■最優秀賞 「世界的な問題への第一歩」ペンネーム:M.K(東京電機大学)

FRANCE-DISTRIBUTION-FOOD-WASTE-GASTRONOMY-POVERTY

JEAN-PHILIPPE KSIAZEK / AFP

現在、世界的に問題になっている食料問題と飢餓だが、発展途上国だけの問題だと考えてはいないだろうか。実際に先進国でも貧富の格差に伴い、飢餓の拡大が年々進行しているというデータがある。例えば我が国日本でも、持続的でなくとも飢えを経験したことがある国民は少なくないようだ。

この写真はフランスのスーパーマーケットのごみ箱から廃棄された食品を収集している団体を映したものだ。この団体は廃棄処分された食品を深夜に集め、フリーマーケットにて無料で配布する、という慈善活動をしている。これは一般国民でも始めることができる飢餓への取り組みであり、身近な食品ロス問題を訴えている。

確かに、発展途上国の飢餓問題を解消することは非常に難しいだろう。しかし発展途上国が身近な食品問題を少しずつ解消していき、意識を高めていくことで世界的な飢餓を解消する第一歩になりえるのではないだろうか。

[講評] 加来賢一(AFPWAAディレクター)
今回のテーマ「 飢餓をゼロに」では、発展途上国における「飢えた子供たち」の現状についてレポートした作品が多く見受けられました。しかし、この作品は、先進国における食品ロス問題について冷静に論考しています。
フランスの反食品ロス活動について取材した写真から、わたしたちが普通に暮らしている日本でまず最初に出来る事について、考察してゆく点を高く評価しました。
「世界的な問題への第一歩」という気負わないタイトルのつけかたも謙虚で俊英だと思います。

 

優秀賞「明日は」ペンネーム:黒猫(東京都市大学)

DRCONGO-DISPLACED-UNRESTJOHN WESSELS / AFP

食糧配給を待つ人々。紛争により居住地から避難を余儀なくされ、食糧の収穫も逃しているため深刻な栄養失調が問題となっている。これから食糧がもらえるが彼らに笑顔はない。
彼に先進国では食品ロスという問題があると伝えたらどう感じるだろうか。怒り、悲しみあるいは呆れられるだろうか。食べたいときに食べたいものを食べられる人々と、限られたときに限られたものしか食べられない状況が世界で同時に起きていることを多くの人が知り、考えなくてはいけないと感じる写真であった。彼らが笑顔で食事を出来るような世界を私たちで作っていかなくてはならないのではないか。

 [講評]加来賢一(AFPWAAディレクター)

今回の課題 GOAL2「飢餓をゼロに」で集まった応募作品では、開発途上国(主にアフリカ)での飢餓及び貧困の状況をリアルに描写した写真が数多く採用されています。
その一方で、先進国及び日本では「食品ロス問題」が大きくクローズアップされていました。今回のレポートで作者は先進国と発展途上国における情況の落差、その要因について考えてゆくことが大切だと記しています。正論をストレートに語る作者の素直な感性に好感が持てます。
一枚の報道写真を契機として、学生のみなさんが「自分が今生きている世界の全体像について考える」ひとつの契機になったのであれば、今回のWORKSHOPの目的は充分に果たされたと考えています。

 

■優秀賞「小さな幸せ」森合 菫(日本大学東北高等学校) 

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YURI CORTEZ / AFP

飢餓や貧しさは、未解決であり身近な世界の問題だ。私たち学生も、これらの問題について話し合う機会が度々ある。そういった時に出る意見は、「これらの問題をどう解決するか」「これからの日本の対策」「私たち学生にも何か出来ることはないか」といった内容で、これらの問題に直面する人々の気持ちを深く考えることを、実はあまりしていなかったのだなと感じた。この写真に写る少年少女は兄弟で、1番歳上の姉が自分の弟と妹にメキシコの赤十字から配給されたミルクを与えている様子だ。その表情に悲壮さは感じられず、無邪気にかぶりつく少女と笑顔で見守る少年の様子は微笑ましい。干ばつによって慢性化した飢餓に悩まされる彼らにも、彼らだけの幸せがあるのだなと思った。負のイメージが強い飢餓や貧しさといった問題は、もちろん解決していくべきだ。しかし、このような環境だからこそ自覚出来る、恵まれた私たちが見落としがちな小さな幸せもあるのだな、とも私は感じたのだ。

[講評] 加来賢一(AFPWAAディレクター)
発展途上国におけるほとんどの子供たちは、恵まれた環境とはほど遠い状況で生きざるを得ないことが多くあります。AFP通信の報道写真はその現状をリアルに描写しており、時にわたしたちは取材記事から強い衝撃を受けることもあります。
今回、森さんのレポートで注目すべきは、写真が描写している内容を深く読み込んでいる点にあります。貧困という概念だけでステレオタイプ的に解釈するのでなく、「無邪気にかぶりつく少女と笑顔で見守る少年の様子は微笑ましい」とレポートする深い洞察力と感性を高く評価しました。

 

■SDGsポイント研究所賞「水不足と涙」伊藤 大将(青稜高等学校) 

SSUDAN-UNREST-FOOD-MSF

Albert GONZALEZ FARRAN / AFP

そっと涙を流し、南スーダン北部の診療所にて栄養失調の手当てを受ける一歳半の子供の写真。

現在、南スーダン含む南アフリカは、干ばつ問題に悩まされ、極度の食糧不足、水不足に陥っている。そのため私は、水不足の地であるからこそ、この子供の一滴の涙が一際目立ち、貴重に感じた。

貴重に感じたこの涙だが、この涙はなくなるべきものだ。

まず、私たち日本人は、飢餓や栄養失調に苦しむ人を考えたときに、自らの食糧への態度を改めるべきだと思う。日本の、まだ食べれる、飲めるのに賞味期限が切れただけで廃棄される食糧や飲料水でどれだけの飢餓で苦しむ人々を救えるのだろう。

この涙がなくなり、南スーダンが潤う日が来るために何ができるのかを考えるとともに、自ら食糧を無駄にしない生活を心がけていきたいと思う。

[講評]柳沢富夫(有限会社ラウンドテーブルコム取締役社長)
飢餓の問題が色濃く残る南サハラ砂漠地帯のスーダンの子供の心の中を読み取りました。全く環境の異なる地域で生まれた命も、私たちの命も同じ価値がある事を、一枚の写真から読み取り、文章化する体験は、辛くもあり、私たちの行動規範を改めて考え直すきっかけにもなったのではないでしょうか。