「十大学合同セミナー・AFPWAAワークショップ」優秀賞、部門賞決定!

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「十大学合同セミナー・AFPWAAワークショップ」

課題「記憶に留めておく一枚の報道写真」優秀賞、部門賞が決定しました!

2018年4月に実施した第一回「十大学合同セミナー・AFPWAAワークショップ」においては77作品のエントリーがありました。今回応募くださった皆様、ありがとうございました。参加された学生さんから以下の感想もいただきました。
「 今回のワークショップに参加させていただいて、AFPの使い方を学べたのはもちろん、写真がもつ訴える力を感じることができ、とても勉強になりました。」

優秀賞、部門賞受賞作品を発表いたします。今回の審査及び講評は青山学院大学教育人間科学部教授 野末俊比古先生にお願いいたしました。

ワークショップの概要はこちらです。https://goo.gl/gmaec4 

全応募作品をAFPWAA公式 ”Instagram” にUPしました。こちらもぜひご覧下さい。
https://www.instagram.com/workshop201804/

 

[総評] 審査員 野末俊比古(青山学院大学教育人間科学部教授)

 私の勤務先である青山学院大学の図書館では、昨年までの6年間、AFP WAAを用いたコンテストを実施してきました。テーマに沿って写真を選び、雑誌記事を書くという課題です。私はアドバイザーおよび審査委員長(日本語部門)として第一回から関わってきました。コンテストをご縁として、今回のワークショップにおいて審査を担当することとなりました。
 さて、今回の課題に対する写真の選び方はさまざま考えられますが、「記憶に留める」ためには「考えさせる」ことが大切であろうと思います。そこで、審査にあたっては、「考えさせる」写真が選ばれていることを重視しました。加えて、写真の意味を引き出すタイトルがつけられ、理由が読み手に伝わるように自身の言葉で書かれているかどうかも考慮しました。
 とはいえ、いずれも甲乙つけがたく、審査においては大いに悩みました(審査に時間を要したことを、この場を借りてお詫びします)。本当にすべて授賞としたいところなのですが、せめてと考え、当初予定にはなかった「奨励賞」を数点、選ばせていただくこととしました。
 皆さんが社会的な問題に対して真摯に向き合っていることが、いずれの写真・タイトル・文章からもひしひしと伝わってきました。多くの写真を見比べて「これだ」という一枚を選び出し、写真にマッチするタイトルを付け、しっかり考えた文章を添える──一連の作業が丁寧かつ真剣に取り組まれていました。今回のワークショップにおける経験が、皆さんの今後の活動にプラスに働くであろうことを願っています。

 

■優秀賞 石田希環(明治大学) 「ふるさとへ」(難民部門)

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Ali DIA / AFP

バスの窓に映るのは監視している治安当局のメンバーの姿と荒れた大地。それと対照的な子どもの力強いまなざしに一目見て惹かれ、この写真を選んだ。難民の避難生活は長期に及ぶ。特に避難先で生まれた難民二世の子どもたちはふるさとの景色すら知らない。私たちには想像できないような過酷な現実がある中、その力強いまなざしに宿った希望を決して消してはいけない。ただ、ふるさとに戻るだけではなく、将来のためにも子どもたちの目に美しいふるさとの風景を取り戻さなければならないと強く感じた。

[講評]
バスに乗り込んだ少年に目が行った後、窓に映り込んだ風景に気づいたときに、私たちはタイトルの意味を理解することになります。「難民」というテーマをめぐって、無数の写真からこの一枚を選んだ感性あるいは知性と、素直に綴られた文章に込められた意思あるいは決意は、まさに「記憶に留めたい」と思わせるものでした。

 

 ■平和構築セクション 部門賞 井手ひかる(明治大学) 「食卓」

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 Biju BORO / AFP

人が家族と食卓を共にするには。現在世界のあらゆるところで紛争や事件が起きている。その中でいったいどれくらいの人が家族や友人と楽しく食卓を囲むことができているのか。私がこの写真を選んだ理由はここにある。平和とはなにか、平和を構築するとはどういうことか、考えた末に私が出した答えは、家族や友人と楽しく食事をすること、それが平和な世界なのではないか。紛争地域では食事さえままならない状態である、一方日本など先進国と呼ばれている国々であっても家族と食事を楽しむ機会は少なってきているように感じる。食事をたのしむことができる日常を取り戻すためだれがどのように働きかけなければならないのかーーミクロな視点からの平和構築をも考えて行きたい。

[講評]
平和とは何かについて考えに考えて、楽しく食事を取ることだという答えを見出し、食事を写した数ある写真のなかから、労働者が昼食を取るこの風景を、おそらく悩みながら選んだ様子が文章からしっかりと伝わってきます。「平和」というテーマを自身ならではの視点でとらえようとした姿勢は高く評価できるでしょう。

 

■難民セクション 部門賞 土屋敦規(成蹊大学) 「次世代への十字架」

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Aaref WATAD / AFP

難民キャンプで三輪車に乗る子供、彼は今世紀最大の人道危機とされるシリア内戦の被害者である。内戦により避難を余儀なくされた彼らは難民キャンプでの生活を強いられる。長期化が予想され、彼がいつまでここで生活するのかわからない。今、もしくは彼が成長してから「なんで自分はここにいるの?」と聞いてきたらなんと答えたらいいのだろうか。「爆弾から逃げてきた。」「紛争が終わらないから」と答えるのか、きっと彼を納得させることができる人はいないだろう。自分たち大人がすべきことはむなしく事実を言い聞かせることや同情することではない。これ以上彼らの未来を奪わないようにすること、失ったものを他のことで補えるよう努力することである。それが彼らへのせめてもの罪滅ぼしである。

[講評]
三輪車の子どもから背景に目をやると、そこは街中や公園などではありません。文章によってシリア内戦で生じた難民キャンプであることがわかります。子どもに何を語れるのかを自問する文章は、読み手にも自問を迫るものとなっています。遠い国の問題ではなく自身の問題であるという意識がタイトルからも伝わってきます。

 

■テロリズムセクション 部門賞 川内佑馬 (青山学院大学) 「朝日か、夕焼けか 」

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Rami al SAYED / AFP

あまたの写真が世界各地で撮影され、平和な日本にいる私の感情を揺らす。風景写真、グルメ写真、そして戦争写真。どれもがファインダーを覗いた先にあるその瞬間を一生懸命に捉えようとした撮影者の意思や意図が伝わってくるものだ。ただ、私はそのような意図を、この写真を見た刹那読み取ることは無かった。不適切な表現かもしれないが、美しさの衝撃がファインダーの先にあるはずの悲劇や絶望を掻き消し、ただただこの世界の魅力を伝えているように感じてしまった。美しいはずのない惨状を伝える一枚を、見慣れた朝日や夕日と認識した私の感覚に世界の現状と自身の境遇との乖離を覚えざるをえない。おそらく、何気ない事一つでも文脈が違う私と彼の地の人とでは意味が大きく異なる。平和な国の住人において、太陽は朝日であろうと夕日であろうと今日や明日への希望の象徴である。それが流血の繰り返される地では、爆撃という悲劇の一瞬現れる皮肉を忘れてはならない。

[講評]

タイトルから想像される夜明けの、あるいは夕暮れの美しい風景が、じつは轟音を伴った閃光から人々が身を潜める街並みであることに気づいたとき、テロリズムの恐ろしさが立ち上がってきます。この写真を選び、このタイトルを付けるという訴え方が秀逸です。写真から受けた自身の心情を素直に綴った文章も読ませるものになっています。

 

■資源環境セクション 部門賞 加山瑶子 (東洋英和女学院大学) 「見捨てられた幼稚園」

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Sergei SUPINSKY / AFP

1986年4月26日、ウクライナにあるチェルノブイリ原子力発電所で爆発事故が起きた。これは、世界最大の原発事故の一つである。
この写真はチェルノブイリ原子力発電所の近くの村にある幼稚園だ。ここも原発の被害を受けており、事故が起きてから32年たった今でも未だに立ち入り禁止区域となっている。この区域は放射性物質に汚染され、ゴーストヴィレッジなどと言われている。園内の様子からは、原発の被害の大きさがうかがえる。
この人形は、事故が起きてから今日に至るまで悲しい現実を目にしてきたのか、人形の目は見捨てられた悲しみや失望感に溢れている。
原発事故の記憶は決して忘れ去られてはいけない。このような災害を繰り返さないためにも、現状を知り、今生きている人間が事故について後世に語り継いでいくべきだ。そして、見捨てたりあきらめたりせず一つ一つの問題と丁寧に向き合っていく必要がある。

[講評]
長く使われていない施設の内部──文章から明らかにされるのは、それがチェルノブイリの原発近くにある、いまだ立入禁止の幼稚園であるという事実です。ベッドの上の人形は、ずっとそこで何を思っていたのか──見た者に考えさせる一枚です。静かに訴えかけてくる写真を選ぶことで、資源・環境問題の重さを感じさせることに成功しています。

 

■貿易セクション部門賞 金澤悠伎那 (東京女子大学) 「甘くない」

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ISSOUF SANOGO / AFP

誰もが大好きな甘くておいしいチョコレート。しかし現実は甘くなかった。チョコレートが世界中に届くまでには、児童労働という問題を考えずにはいられない。問題の根幹にあるのは、末端の農家が満足に暮らせるだけの対価が得られない「不公平な貿易」である。生産者はいまだ深刻な貧困に直面している状態が続いている。少しでも貧困から抜け出すために、労働力として多くの子どもが危険な労働や重労働を強いられている。生産者である親が適正な代金を手に入れることができれば、子どもは学校に通うことができるのだ。児童労働をなくすための取り組み、「フェアトレード」が知られているが果たしてどれくらい役割を果たしているのだろうか。私たち消費者が、より児童労働への問題意識を高め価格よりも問題解決を優先させなければならないのである。「不公平な貿易」はなくすために、一歩一歩ルールを改善していこうではないか。甘い現実が訪れるように。

[講評]
「甘くない」というタイトルからはいろいろな状況が想像できます。しかし、文章を読み、児童労働ひいては貿易の問題について訴えるために選ばれた写真であるとわかった私たちは、甘くないのは私たちの認識であると気づかされます。ココア農場からチョコレートに絡めた発想で書かれた文章は読みやすく、好感を抱かせます。

 

■奨励賞
・樋田朱莉(東京女子大学)「子供たちに明るい未来を」(平和構築セクション)

・高橋萌美(獨協大学)「瞳」(平和構築セクション)

・赤坂拓哉(早稲田大学)「願い」(難民セクション)

・青木大河(明治大学)「内戦の言葉も知らず闘う小さないのち」(難民セクション)

・岡村誠一郎(明治大学)「テロは他人事と思う人々へ。本当にそうでしょうか。」(テロリズムセクション)

・松永悠希(早稲田大学)「命の重み」(テロリズムセクション)

 

■副賞
・優秀賞:Amazonギフト券¥10,000 (1名)
・部門賞:Amazonギフト券¥1,000(5名)
・奨励賞:AFPオリジナルボールペン (6名)